フリーキャスター 佐藤 のりゆき
第3回 ふるさと銀河線廃止に見える北海道の姿

 ふるさと銀河線の廃止が決まった。利用者数が平成2年度の102万人をピークに減少を続け、今はその半分になってしまい、運輸収入も減り、毎年4億円の赤字になってしまったからだという。
 1989年、JR池北線から引き継いだ「北海道ちほく高原鉄道」という第三セクターで運営されてきた。沿線140キロは星空が美しく、ふるさとを大切にの心で「ふるさと銀河線」と名づけられ、2002年には増収策として松本零士氏デザインの「銀河鉄道999」列車なども企画された。
 北見から池田間の33の駅のうち、12駅には星座の名前がつき、全国の鉄道ファンからも愛されてきた。3月27日、取締役会で事業の廃止が決まり、4月17日の株主総会で承認された。100年の歴史をもつ鉄路に来年、終止符を打ち、バスに転換するという。沿線住民のみなさんの寂しさ、悔しさがニュースになった。
 それを見て廃止を阻止しようと立ち上がった人達がいる。ふるさと銀河線札幌事務局の村松弘康弁護士をはじめとする10代、20代の若者達である。村松氏は沿線の陸別町出身で立ち上がったのであるが、彼の呼びかけで北海道の各大学生たちが廃止反対を唱え、集会を開いた。彼らは赤字を分析した。営業収入2億円、営業支出6億円。バスに転換しても2億円の赤字が見込まれるとなった。利用者はバス転換になっても負担は2倍近くになる。現在4億円の赤字のほとんどは人件費である。がその人件費には天下り役員の給料も含まれている。列車運行に携わる人たちだけの分ではないのである。
 そこで彼らは銀河鉄道を民間と市民の手にゆだね、民間の手法で企業再生をしたら、存続できると主張した。もっともな主張であると思う。
 さらにこの線の廃止には、いろいろな思惑も感じられる。この線に並行して高速道路の建築計画がある。
 経営安定に使われるための基金(税金)が、線路とりはずしの金になるらしい。とりはずしの費用31億円。そこに業者が寄ってくることになる。
 廃止阻止を訴える彼らは、これは単なるローカル線の廃止問題ではなく、北海道の将来を憂うべきことと嘆く。全く同感である。相変わらず公共事業を頼りにし、自分たちの工夫で立ち上がる気概はここにも見えない。枝葉を切っては幹は育たないという言葉を思い出す。